身分高く、教養も申し分ない岩藤ですが。
人に厳しく短気で、妬み深い気性が伝えられます。
岩藤:長谷川一樹さん。諏訪:筒井良祐さん
続いては
女でありながら、主人の敵討ちを果たした烈女 お初の物語。
烈女とは、信念を貫き通す気性の激しい女子を言うそうです。
~第2幕 鏡山 後野神楽社中~
「およそ300年の昔、浜田藩で実際に起こった、俗にいう鏡山事件。
あの忠臣蔵から20年後に起こった事件であったため、女忠臣蔵として広く知れ渡りました。
“思う一念岩をも通す”の言葉のように、慕う女主人の命に、自分の命を重ねて生きる忠義の心を描きます。」
文:石井誠治さん
浄瑠璃や歌舞伎で古くより伝わる話を、独自の取材を加え、浜田を伝える創作神楽として平成16年に発表。
当時は“創作神楽”そのものも珍しく、又、演出も斬新と言われ話題を集めました。
今年11年めとなり代替わりを果たし、新たな気持ちで臨まれます。
その終わりには、お初の真心に拍手喝采の鏡山でした。
自らの謀に、妬む相手・尾上を貶める岩藤。心は顔に出ると言いますから~。
家名を穢され辱めを受け、自らの死を以て償う尾上(鬼城忠明さん)。
岩藤の謀で主人が自害した事を知り、悲憤するお初。
この夜に限って主人の側にいなかったことを嘆く姿が胸を打ちます。
尾上が自害を図った懐剣で岩藤を討ちます。
白骨が集まり、怨霊として蘇る岩藤。岩藤怨霊:勝田知宏さん。
もともと岩藤の本性はこうなのかも。
とにかく見応えのある!息を呑む、激しい立ち回りでした~。
結局、お初の主人を想う気持ちの方が強かったんですね~。
後半へ続くよっ
2014,07,18 Fri 21:06
幕開けは、石見神楽細谷社中の皆さん。
代替わりしたばかりの貴船で、幕開けを飾っていただきます!
この夏で9年目を迎える月いちの舞。
ひとつひとつの開催にテーマを設けてお送りしてきましたが。
その中でも一番おどろおどろしい特集となりました。
男女の愛憎をはじめとして、恨み、嫉妬、復讐、愛欲と。
女の赤黒さを「情念」とし。
人の心を舞う物語が、神楽の魅力、芸術性を高めるものとして。
鬼女の心に自分の心を重ねて頂く会となりました。
~第一幕 貴船 石見神楽 細谷社中~
「草木も眠る丑三つ時。
午前二時頃、風の音も止まり、時も止まる、全く静かな真夜中。
裏切りの男に下される女の仕打ちは、貴船の社で繰り返されてきたといいます。」
文:石井誠治さん
細谷社中では、夜明かしなどの奉納では、貴船は午前2時頃と決まっているそうです。
又、貴船を舞う社中さんが少ないことから、依頼もあるそうですが、舞う場所、時間等を考慮して受けられています。
その終わりに大きな余韻を残す貴船。
誰もいなくなった舞台、開いたままの神楽幕にどんな物語を綴られたでしょうか。
男への恨み、悲しみを切々と。(女・鬼女:岡本 健太さん)
この後、鬼女となった場面の、奏楽との合わせ舞が渋いっ。
安倍清明、三吉、男の場面はドリフかと・・・
秘術がしたためられたタウンページ。(安倍清明:後野裕次さん)
この面付き藁人形。昔から続く伝統だそうです(三吉:木戸雅広さん)
似てる似てる!(男:高村洋志さん)
ひとり残され、震える男。
・・・の背後から、鬼と化した元・女房。
あらま~。
しもとを以て打つや打つ。
つづくよっ
2014,07,18 Fri 09:28
2014,07,16 Wed 13:46
金太郎あめみたいなの、な~んだっ
お待たせしました~
西宗神楽団、広島神楽定期公演、幕間のお話から参りましょう
お話は顧問の迫本哲憲さん。
“神楽歴57年”のご紹介で、会場から自然に拍手が湧きました。
とてもざっくりした質問ですが、57年に何を想われますか?
『やっぱり“好き”いうことでしょうねぇ。』
『“好き”いうのは、何にでも勝てるけぇねぇ。上手くなるのも“好き”。続けられるのも“好き”いうことよねぇ。』
当時は氏子であっても、皆が皆入団できるものではなかったことから。
神楽ができる、ということも嬉しくて嬉しくて。。。
振り返ると57年、何一つ色褪せず。
迫本顧問とお話をしていると、自然に涙が出てくる。
こういうご縁を頂けることにつくづくと感謝を致します
道具箱の中には“くも”が並んでいます。手にも年季と味わいが・・・
ところでこの日の2演目は
“くも”が大活躍致しました。
当たり前になっている“くも”も、神楽団の個性のひとつですね。
その“くも”を作っておられるのも、迫本さん。
『昔からあったんじゃがね。お客さんと一緒になって楽しむ神楽のために、進歩しとるけぇね。』
紙を巻く力加減や細さで、飛び方も、見え方も違うそうで。
『研究、研究。色々やってみるんよね』
ろうそくやそうめんと比べて、ちょっとお高い「讃岐うどん」を芯に使うそうです。
記念撮影の際お客さんが、くもを拾って・・・ホントにうどんだ!と笑っておられました。
崇人天皇の時代に、異国百済の凶悪な王子が吉備津国に飛来し、吉備冠者(きびのかじゃ)と呼ばれ、悪の限りを尽くしたと言います。
~第2幕 桃太郎伝説~
およそ10年ほど前に、西宗神楽団の創作神楽として誕生しました。
当時は「吉備津彦の命」という演目名でしたが。
幅広い年齢層の方に、分かりやすく、又心に残るように願いを込め桃太郎伝説としました。
“自分たちの創作=子供”という気持ちでとても大切に育てられ。
10年経ちましたが、これからも良い変化を、その都度加えていきたいというお話でした。
※写真がちゃんと撮れていないことを、最初に謝っておきます!!
崇人天皇より吉備冠者成敗の詔を賜る、五十狭芹彦命(いさせりひこのみこと)と犬飼武。
五十狭芹彦命:桒木 武さん、犬飼武:山上尚也さん。
天皇より、朱金(あかがね)の弓と真金(まがね)の矢を授かり吉備国へと向かいます。
ここでは、賊として描かれる吉備冠者(迫本 昭憲さん)。
命が放った2矢のうち、1矢が冠者の左目を射抜きます。
大激闘の末に、降参した冠者は自分の名を五十狭芹彦命に献上し・・・
成敗されます。吉備津彦命・誕生の場面です。
ここから吉備は、鉄、塩、穀物、と豊かな国作りがはじまります。
明日の定期公演は~
7月16日(水)6時半開場 7時開演
広島県民文化センター(082-245-2311)
上本地神楽団:滝夜叉姫、八岐大蛇
大蛇の胴って何メートルくらいあるか、観ながら考えてみてねっ
2014,07,15 Tue 14:23
この日、鬼女を初めて舞う、東 友樹さん。今の気持ちは~?
『めちゃめちゃ緊張しています』
その緊張を分かち合い、解してくれる仲間がいます。
広島神楽定期公演、15回目の節目は
西宗神楽団の皆さんでした。
このところ、新しく入団された若い方々が着実に力を付け。
ベテランの皆さんの懐を借りながら、舞台で羽ばたき始めているようです。
「始まり」の昂りを、一緒に味あわせてもらえることは、とても嬉しい事です。
神楽団の歴史は、一人一人の歴史が合わさったものと、改めて感じます。
浜田から通う、中田 正則さんも、西宗の神(平貞盛)を初めて舞いました。手前は桒木 武さん(藤原秀郷)。
これからこのお二人の“神コンビ”を度々拝見できそうです。
ちなみに、初舞台の団員さんを見守るスタイルは人それぞれ
舞台袖で、自分の事のように緊張感を取り込み「二人は(東さん&中田さん)、よく頑張っとる!」と、独り言を繰り返す西村豊団長。
そうかと思えば舞台前に「今日はお客さんが多いわーっ」と、わざとプレッシャーをかけ、新人さんを追い込む桒木 武さん。
『だって、俺らも先輩方にそうされたもんっ』
飴と鞭。どちらとも先輩の愛には違いない!
~第一幕 筑波山~
横田神楽団より平成7年に師事されました。
一番初めに指導して頂いた演目で、今年20年めになります。
配役の世代交代もいくつかありました。
年月が経つにつれ、西宗色を意識するのでは?と伺ってみましたが。
『神楽の教えを乞うというのは特別なこと。
西宗の神楽の新しいスタートを切らせて頂いた演目ですので、年月が経つ程に、教えて頂いたことを忠実に守って舞いたいという気持ちが強いです。』
『そしていつかは“横田神楽団に負けんくらいよう舞うのぉ!”と言ってもらえるようになりたいですね』
西村団長のお話です。
~あらすじ~
藤原秀郷と平貞盛を討つれた平将門。
将門に仕えていた侍女は主の仇を討つため、筑波山に籠り修行を重ね、妖術を身につけ復讐を果たそうとする物語。
鬼女たちは巫女に姿を変え、毒酒をお神酒と偽り、秀郷、貞盛に勧めます。巫女=筑波山と思いますね。
鬼女:池田真彬さん、東 友樹さん(手前)
毒酒に倒れる秀郷と貞盛ですが、神徳の御加護により、鬼女の妖術は破れます。
平将門を慕う人々によって、後の世に数多くの物語が生まれました。
会場の視線を一身に集める時です。鬼:迫本 昭憲さん。
続きます。
2014,07,12 Sat 20:18