

周防灘に浮かぶ、周囲12キロのハートの形をした小さな島。
漁業と農業が主で、特にビワはブランド化しています。
4年毎に開かれる“祝島の神舞”も広く知られています。
祝島には、長年お世話になっているご夫婦があり。
幾度となく訪れていますが、今回の目的は野鳥調査。
春の明るい日差しのもと、まだ少し冷たい潮風の中を、島の端から端と山の中の一部を見て歩きました。


新聞や宅配便の荷物が沢山載せられます。乗客は2人だけ。

祝島は、植物観察や風景画、写真、釣り、猫好きと多くの観光客が訪れる島です。
フラリと島情緒を求めて来られる方もいらっしゃるようですが、民宿やカフェもあり、短期間の滞在に不便はありません。


台風や強い季節風、又、密集しているお互いの家屋を火災から守る役割があるそうです。
早速レンタサイクルで、島の西側から調査を始めることに。
しかしこの自転車!普段どなたも手入れされていないようで、少し注意が必要です

タイヤに空気を入れて、パンクしませんようにと出発。


祝島は猫さんが多く、猫島と呼ばれる方もいます。
岩合光昭さんの写真の影響もあるのかもしれません。


島の方によると「今、50匹くらいいる」そうです。
猫さんも人懐こい子と、警戒心の強い子といます。
ただ、痩せているの子が多いのが少し気掛かり。。。島猫ってそんな感じなのかな。

ところで。
祝い島では、出会う人みんなが声をかけてくれます。
「どこに行くの?」「その自転車大丈夫そう?」「飲み物は持った?」等々。
みんなが身内的な感覚なのでしょう。
その中で、時間があるなら絶対行った方が良い!とおススメされたのは。
『平さんの棚田』。
ところがこの棚田は、港から4~5キロの山の中にあります。
往復9キロ、船の時間を考えて動かなければなりません。
私は野鳥を探しながら、行ってみることにしました。
しかし実際には、山の中腹に整備されたコンクリートの一本道。
アップダウンの少ない歩きやすい道で、斜面には琵琶畑やみかん畑などが広がっています。


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普段人が来ない雰囲気。高齢化が進むこの島では、この階段・高さは難しいと感じる。

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野鳥探して写真撮って、全然前に進まん。
看板もないので、今どのあたりか全くわからまま1時間半。
突然到着しました。
平さんの棚団はこれだ~~!
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想像以上のスケールに、凄いっ

そして、観光マップを読んで、度肝を抜かれました。
“この棚田は大正時代の終わり頃から約30年かけて、 親子三代で重機も使わず「てこ」で造りあげた日本最大級の美しい棚田です。急勾配の土地を切り拓いて、広く平らな田んぼを造るため、高い石垣が築かれました。
「谷積み」という手法で積み上げられた石垣は、数トンもある巨石から小石まで理想的な配列がなされています(観光マップより)”
なんだって?!
大きなものでは1メートルもある岩を、重機無しでひとひとつ、てこを使って。
・・・45度のこの山の急斜面を整えられたのですね。

初代、平亀次郎さんは「米さえありゃあ生きていける。子供や孫のために田んぼを残そう」とおっしゃったそうです。
その後、三代目の平萬次さんは、50年以上この棚田で米作りをされてきましたが。
ご高齢となって、10年前から休耕田となっているようです。

この景色は、当時から変わっていないでしょう。
人間の強さを思います。
初代・亀次郎さんは家族や子孫のために、この偉業を成し遂げられたのですね。
亀次郎さんの言葉は、現在、石碑に刻まれています。
「今日もまた、つもりし雪を かきわけて 子孫のために ほるぞ うれしき」
さて、そろそろ戻らなければ。。。。
帰り道も、ノスリやサシバが青空に舞い、春に去る野鳥、来る野鳥が入り乱れていました。
集落に帰ると、流石に歩き疲れて、港の前のカフェで一休み。
ここでも、島の方が色んなお話をして下さいました。


体に染み入る良い香りのハーブティとパウンドケーキ(絶品

およそ10時間半滞在の、充実観察。
それでも、まだ行っていない場所を一か所残している。
遠いようで近い祝島。
上関へのドライブがてら、のんびりしに行ってみてください。
流れる時間が少し違って感じられます。
島の周囲を見て歩くだけなら、半日でも充分楽しめますよ


釣り人のバケツを狙う、猫さん発見。
2025,04,13 Sun 01:42
