振り返れば、一見プロデューサ-な“I 氏”。
雨が続いた週末でした
《新時代・神楽の可能性を求めて》シンポジウムが開かれました。
パネリストの皆さんはソファーに腰掛け、鑑賞者の皆さんと目線を同じにします。
迎えるホスト役は、NPO理事長で広島修道大学教授の日隈健壬さんです。
すっかり童心に返る日隈先生。
絢爛豪華な衣装や、展示すると表情がまるで違う面の数々、手道具などに囲まれて、ギャラリー森はサロンのような和みのスペースに様変わり。
どちらも寛いで。
始めに、元・中川戸神楽団団長の羽原博明さんから、板蓋宮制作当時のお話がありました。
原田神楽団の鍾馗に衝撃を受け、はじまったこと。
手応えと拍手では得られない、競演の評価。
方向性に確信を持ってからは、アイデアを常に模索し、研究に明け暮れたことなど。
『えっ?私ひとりで喋るんですか?』と羽原さん。
県立広島大学の理事長で、学長でもある赤岡功さん。
データで、全国の神楽の活性化を示し、1993年の板蓋宮の影響を解かれました。
作曲家の伴谷晃二さんは、広島夏の芸術祭《オロチ~火と水への賛歌》の作曲者です。
広島生まれの伴谷さんは、オロチの姿を雄大な太田川に重ね、火と水というテーマから被爆地・広島が祈り続ける鎮魂と再生の姿を描かれました。
オロチが成敗されないことで議論もありましたが、命の尊さ、平和を想う交響曲は、神楽の願いそれらとまるで同じですね。
さて、神楽人お二人。
琴庄神楽団・笛の奏者、崎内佑結さん。保育士さんです。
お父さんが団長さん。小さいころから傍らに神楽がありました。
思春期の葛藤やプレッシャーを辿り、指導してもらった方への感謝を込め『吹かせてもらっているんだから、頑張ります』と爽やかでした。
質問に一生懸命考えて、丁寧に答える姿です。
一際存在感のある、石見神楽亀山社中・小川徹副代表。
『神楽は本来神に捧げるものですが、正直、神楽を通して人を魅了したいという欲もあります。』
『どの時代でも神楽は進化し続けて、現代に繋がっている。』
『変化のスピードが速ければ速いほど、周りから色々言われるのでしょう。』
メモに溢れる小川語録。さすがです。
身振り手振りでヒートアップするのでした!
言い忘れたこともいっぱい、だそうです
“伝統”と“さきがけ”の2極を持つ現代の神楽。
短い時間ではありましたが、内容は多岐にわたりました。
競演の特徴である制限時間も、そのプロセスが想像力と創造力を育むのではないか、という話も出てきました。
鑑賞者の皆さんは、どんな話を心に持って帰られたのでしょうか。
2011,12,01 Thu 10:57